ガーデン ご紹介

花花

カッスル・ハワード  Castle Howard
               2011年9月23日 訪問  水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。

カッスル・ハワードも05年の訪問で強くインパクトを受けた。楽しみにしてきた再訪だ。 A64に戻りローカルロードに入ると間もなく一直線の並木道(The Avenue)になる。カッスル・ハワードの西側に5マイル(8km)に渡り真っ直ぐ伸びる ブナノキ(Beech)やリンデンバウム(Lime)の並木道だ。しばらく走ると"The Gatehouse"が見えてくる。Gatehouseの下まで来てオベリスクを入れたアングルに思いつく。 急停車、バックして撮った写真が下左。Gatehouseを過ぎたところで車を止めてもう1枚。こんなことができるのも通行量が少ないからだ。 このオベリスク(The Obelisk)は高さ100フィート(30m)という堂々たるものだ。このオベリスクを右折すればカッスル・ハワードだ。
パーキングに車を置き、見えてきた建物は"Stable Courtyard"だ。カフェ、ファームショップ、ブックショップなどが取り囲んでいるが、 ショッピングは後回し。"Ticket Office"で"Grounds Only Concession"2人で£16を支払い入場する。 いきなり優しいピンクのバラの生け垣が迎えてくれる。整然とした並木の向こうにハウスのドームが見える。 個人の邸宅ではイギリスで初めてドームを戴いたハウスということだ。天気も上々、絶好の日和だ。

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ハウスに向かって右手の壁のゲートをくぐると"Walled Garden"だ(写真下左)。最初に現れたのは立体的な整形花壇。ヘッジの厚さとカットの美しさが際立つ。 植え込みはベゴニアだ。前回はクリーム色の金魚草だった。背丈があったからより立体的な印象が深い。 両脇のボーダーも前回はデルフィニウムが満開で感嘆したが、今回は背丈も低く地味な印象だ(写真下中2枚)。 細長く2つ並ぶ花壇の中央のステージは前回はベンチがあって記念写真を撮ったが、今回は像が置かれ、立ち入れない。何代目かの当主の像だろう(写真下右)。 結構まめに入れ替えをしているのだ。

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このウォールドガーデンには3つのローズガーデンがある。その一つが"Lady Cecilia's Garden"で、ジョージ・ハワード卿(Lord George)が妻のセシリア夫人のために 1975年につくったものだ。ローズガーデンの南側半分を占め東西100m×南北50mほどもある。
"Head Gardener's Cottage"の前のテラスはヘッジに囲まれた芝の広場で白いベンチがとても優雅だ(写真上左から2枚目)。中央には円形プールがあり、 天使が担いだイルカの口から水は噴き出す噴水がある(写真上左、下右から2枚目)。円形プールを挟んで反対側(東側)の突き当たりのゲートも美しい(写真下左)。
植栽はオールドローズの Albas , Gallicas and Damasksを中心にハーブや宿根草、灌木、樹木と多彩だ。ヘッジと芝でフォーマルに刻まれた経路は 一筆書きには回れず、右往左往する。
ガーデンの両脇には東西に壁とヘッジに挟まれたロングボーダーになっている。バラやクレマチスが壁を伝う(写真下右)。
要所に壺やコンテナなどのオーナメントの心憎い配置がなされている。

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北側半分のローズガーデンは西側の立体的な整形花壇から東に続く。二つ目のローズガーデンは"The Sundial Garden"を2006年から"The Ornamental Vegetable Garden" として改造したものだ。このウォールドガーデンが造られた18世紀にはハウスの住人に供給する果物と野菜を栽培する為に造られたもので、 一部を最初の目的に近い形に復帰させようというプロジェクトだ。
しかし、整然と畝を造り、野菜を効率よく作るイギリス式のキッチン・ガーデンではなく、花を取り入れたフランス式のポタジェ(Potager)の形、 すなわち、装飾的(Ornamental)なキッチン・ガーデンに改造したのだ。
十字とXをクロスさせたユニオンジャックの形の中央に重厚なサンダイアルを配置し(写真下左)、バラと野菜、果樹をミックスした植栽がなされている。

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写真下左はキッチン・ガーデンから三つ目のローズガーデンのビーナスの像を望んだのだが、間にもう一つガーデンがあるのがお分かりだろう。 しかし、どんなに調べてもガーデンの名前が分からない。要は2つのガーデンを仕切る通路といった扱いなのだろうが、 幅10m以上ある立派なダブルボーダー・ガーデンだ。
写真下右から2枚目のゲートは"The Satyr Gate"だ。1705年に造られたもので、ギリシャ神話の半人半獣の森の神・サチュロスの顔が門柱上部に刻まれている。 その上にはフルーツバスケットが乗っている。扉は真鍮製だろうか、重厚感溢れるものだ(写真下右)。

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三つ目のローズガーデンはビーナス・ガーデン(The Venus Garden)だ。ハウスの西の森にあったビーナス・テンプル(Temple of Venus)の跡から発見された ビーナスを中央に立ててある。これに円形と十字の経路を刻みデビット・オースチンを含む2000本のバラが植栽されている。
レンガ塀、生け垣、パーゴラに囲まれた空間にはバラの色と香りが満ちている。

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ウォールドガーデンの花をもう幾つか紹介しよう。クレマチス、フクシア、白妙菊、ピラカンサスとバラだ。 9月も下旬、ここまでは期待していなかっただけに嬉しい限りだ。元気なフクシアに垂涎、古色に溢れながらも明るい感じのプランターに恍惚。

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カッスル・ハワードはロンリープラネット(Lonely Planet)社が選定した"Lonely Planet's 1000 Ultimate Sights"に載り、 その上"The World's Top Ten Greatest Mansions and Grand Houses"にも選ばれているのだ。何せ世界のトップテンなのだ。 ハウスの中については語れないが、外観とグランドの壮大さに関しては、イギリス一と素直に認める壮大さだ。
カッスルと名が付いているが、実際には城郭(castle)として使用されたことはないのだそうだ。18世紀初期に始まりハワード家(Howard family)が 300年に亘り居住している。しかし、現在の建物は1940年に火災で大半を失ったものを、 前述のジョージ・ハワード卿とセシリア夫人により再建されたもので、豪壮にして壮麗な建物だ。
何よりも素晴らしいのは"The South Parterre"だ。私のパルテールの概念をはるかに超えるものだ。特に"The Atlas Fountain"のスケールには 2度目ながら度肝を抜かれる思いだ。ギリシャ神話に登場する巨人・アトラスが天球と大地が接触しないように支えている図だ。 そのアトラスを冷やすために半人半魚の海神・トリトン(triton)がホラガイで水を掛けている。
噴水の水は1km程離れたレイ・ウッドという森の貯水池(Ray Wood Reservoir)からパイプで送られていて、"The South Lake"にある "The Prince of Wales Fountain"共々運転されているのだというが、ここでも渇水なのか残念ながら噴水はストップしている。

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"The South Parterre"の東側に"The South Lake"がある。1720年代初頭に造られた湖だ。貯水池との20mの水位の差を利用して13mの水を吹き上げるという "The Prince of Wales Fountain"は動いていない。
湖の遥か向こうにドーム型のテンプルが見える。カーライル伯爵(The third Earl of Carlisle)を祭ってある霊廟"Mausoleum"だ。1740年代の建造だという。 遠目にもかなり大きなものに見える。これが昨日訪れたリーヴォール・テラスのトスカナ寺院のモデルとなったテンプルだ。見学は特別の許可を取った団体だけに限るようだ。
ここにはもう一つ"The Temple of the Four Winds"というテンプルがある。こちらは見学できるが、歩くのに少々疲れたのでパスしよう。
数々の巨大な像やモニュメントが立っている。写真上左から2枚目のコンテナは横幅3m高さ1.5mを下らないだろう。植え込みに脚立が必要だ。

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ハウスの西側の広場は真ん中にイノシシの像があるので"Boar Garden"だ(写真下左から2枚目)。2.5トン(とホームページに記されている)のスイセンと 1万個のクロッカスやスノードロップやチューリップの球根が植えられていて早春を彩るらしい。その光景が想像できない。
ハウスの北側に見える湖は"The Great Lake"だ。1790年代に造られたもので"The South Lake"の何倍も大きい(写真下右から2枚目)。 18世紀はイギリス貴族の間でこのように湖や川や橋、廃墟や洞窟、神殿や寺院などを自然らしく造成したガーデン”英国式風景庭園”が大流行した時代なのだ。 多くの風景庭園の中でもカッスル・ハワードは最大級のものだろう。
カッスル・ハワードでは地中熱暖房(Ground Source Heating)を取り入れ環境保護にも対応しているが、"The Great Lake"もその一翼を担っているという。
入り口と"The Adventure Playgound"を結ぶ"Kelly Car"と呼ばれるトラクターで牽引する乗物が走っている。平日だけに子供の姿は少ない。
"Garden Centre"でブリキ製のネームタグを見つける。なかなか日本では手に入らないものだ。陽だまりへのお土産に3パック購入。

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Information
 Address  Castle Howard, York YO60 7DA
 Telephone  01653 648333
 Web Site  Castle Howard

オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは Gardens Finder
Gardens Guideで確認ください。

「旅行記」もご覧ください。

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